ばらの騎士とゴルダ・シュルツさん

残すところあと一回…
もっと弾きたい…

ずっと弾きたかったR.シュトラウスのオペラ。ドイツのオペラハウスで働いていたとき、シュトラウスの作品は、「サロメ」と「エレクトラ」が回ってきた。でも「ばらの騎士」は来なかった。帰国しようと決めたらその次のシーズンにやっと来て、ハンカチを噛んで口惜しい思いをしていたのだった。今回長年の夢が叶い、大変嬉しい。有難い。。

どんな曲でもそうだが、その曲に出会い演奏する機会は、人生で何度あるのだろう。きっと数えるほどだ。特にこういう作品は。佐渡裕さんが著書の中で、「毎回の演奏会を最後だと思って演奏する」と書かれていたが、本当にそうだよなと感じる。その曲をまた演奏することはあるかもしれないが、同じメンバーで弾くことは二度とないものだし。まさに一期一会。

生徒さんにも話すし自分でもいつも思い直すのは、この「いつでも最後だと思う」ことと、「いつでも初めてだと感じる」ことだ。初めてその曲に出会った時の感動や驚きを何度弾いても感じられるかどうか。和声の移り変わりに、音の跳躍に、メロディーの美しさに、毎回毎瞬、はじめてそれに出会ったように驚き、心がふるえるかどうか。音楽は時の芸術だから、「たった今海から上がったピチピチの魚!」「たった今木からもぎとった水分たっぷりのフルーツ!」のように、「たった今ここで立ち上がるピチピチのジューシーな音!」が生まれる現場でありたい。そう感じられる自分でいたい。子どもを見ているといつでも1回目なのだなと感じる。いつでもまっさらな状態で遊べる、喜べる、驚くことができる。予定調和は一番つまらない。(もちろん、全体を勉強し尽くし、把握していることは大切だけど)

閑話休題。

さて、今回のキャストで、ゾフィー役をしているゴルダ・シュルツさん。本当に素晴らしく、特に二幕あけて間もないシーンの歌声は、毎回弾きながら鳥肌が立ってしまう。泣きそうになる。。天からふりそそぐ光のような本当に美しい歌声。艶があり、まろやかで、澄んでいて、やさしさに満ちている。あの歌声を聞くだけでも価値がある…。たくさんの倍音をふくんだ、艶のある、豊かな美しい歌声…聞き惚れる。聞いていると、心が広がる。音楽ってこんなにも自由なのだよなぁ。大きな大きなものにつながっている感じがする。村上さんの演奏を思い出す。

高音のこの美しさよ…

プッチーニ、大好き…
https://youtu.be/vB0Lv2fTZxQ

こんなのもよい!
リズム感のよさに、血の違いを感じる

https://youtu.be/N56q3DlnV-I

元々はジャーナリストになりたかったのか
「大晦日くらいは、ほんとは家族と一緒に
いたいしのんびりしたい。でも私はここにいて、そして自分の仕事を愛している」と
はにかみながら話す姿に親しみを持つ。
https://youtu.be/iJLc3QO7NGY

魔笛。美しいアリア。

ザルツブルク音楽祭のインタビュー
「私たちは夢を持っていなければ死んでしまう。どうして今ここにいるのか(どうして生きているのか)わからなくなる。これは私にとってとても大切なこと。もちろん今ある仕事に精一杯のエネルギーを注ぎます。歌手として、役者として、そして人間として、成長していきたいから。でも、それだけでは充分ではないのです。まだ見たことない世界を見てみたい。まだ立ったことのない舞台に立ってみたい。まだ会ったことのない人々と出会いたい。それを通して私は成長できるし、それが私の仕事へのキックになるんです。」

素晴らしいな、、私もそうありたい。

今日の言葉*
「私は私の心に適ったかたちで彼を愛そうと誓った。彼があの娘を愛するなら、その気持ちも大切にしようと。」

Rosenkavalier Trio – Lott, von Otter, Bonney & Kleiber 


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