プチブルー

元日でよいお天気だというのに外にも出ず日が暮れようとしていた。朝、「近くの神社におまいりだけいきたい」とつぶやいたら、「まだ歩くとおなかにさわるからやめときなよ」と言われた。たしかにまだおなかが痛いし、やめたおいた方がよいよね。「移動するの大変だから車でドライブしようか、気分転換になるでしょう」と言ってくれた。夫のやさしさだ。ありがとう。でもわたしのちょっとした気持ちのために車借りたり、一家で移動するのはたいへんだし、きちんとした服に着替える元気もお化粧する元気もないから、そうだねぇとつぶやいた。

眠い目をこすりながら階段を上がる。あまちゃんが、すごく不機嫌で、何してもだめ。話を聞いて、いろいろ遊びを考える。白い紙をつなげて、床に貼ってみた。大きなキャンバスになった。わたしがいろいろ描いていると、あまちゃんも食いついてきて、これはママ、これはパパと、線をグルグル描く。よかった。楽しそうで。

お昼ごはんをつくる。今年もおせちなんてとんでもなかったなぁ。今年は家族の健康を守るためにも、お味噌汁だけは作ろうと決めた。野菜たっぷりのお味噌汁。おいしいねとあまちゃんがモグモグ食べてくれた。よかった。

おっぱいあげて、おむつかえて、抱っこして、料理して、食べさせて、遊んで。夕方になった。疲れた。眠い。コンコンと眠りたい。

夕方。

パパが自転車であまちゃんを連れ出してくれた。風邪もだいぶよくなってきたし、よかったね。いってらっしゃい。

夕暮れどき。冬の空。冬の空気。わたしが一番好きな季節。お散歩したい。来る日も来る日もおっぱいあげて、おむつかえて、なんだか頭がおかしくなりそうだった。無性に泣きそうになった。あ、これ、マタニティーブルー??出産から今まで何回泣いたかな。出産前と手術のときは、いろいろ号泣した。産んだあとは、前回とは比べものにならないほど精神が安定していた。それでも、入院中一度、あまりの痛みに、ベットの上で泣いた。猛烈に痛いと、痛いというその事実だけで涙が出るのだと初めて知った。帰宅してから、あまちゃんに会ったときも泣いた。あれは嬉し泣きだった。

産後宿泊施設にいくのをあきらめなくてはならなかったとき。階段に座り込んだら、泣けた。すごく疲れていたのだと思う。身体は絶対に泊まりに行ったほうがよいとわかっていたから、からだが、勝手に泣いた感じがした。そのあと、じんましんがひどくなった。

今日。夕暮れを見たくて泣いた。いてもたってもいられなくなって、赤ちゃんをぐるぐる巻きにして、外に出た。太陽は沈んでしまったところだった。でも空気は美しかった。ベンチに座り込んでボーっとする。こどもたちが元気に遊んでいる。人々が行き交う。世の中はやはりすこし元旦ぽかった。あけましておめでとう。

長い長い自粛生活。感染しないかという不安のなかで暮らした妊婦生活。とつきとおか。疲れたよね。たいへんだったよね。がんばってるよね。いろいろがまんしてるよね。えらいね。自分をギューっとエアハグする。涙は引っ込んでしまった。もっと泣けたらよいのにと思った。なんだか自分を見失いそうになった。プチマタニティーブルー。空を見上げた。

今年はどんな年になるのかな。赤ちゃんはおっぱい沢山飲んでくれてどんどん大きくなってる…頼もしい。君が元気でいてくれたらなによりも嬉しい。産まれてきてくれてありがとう。

今日の言葉*

“過てば即ち改むるに憚ること勿れ”


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