三善晃、反戦三部作

昨日の公演。三善晃の反戦三部作。
完売御礼。文化会館が満席だった。

ずっと気になっていて、どうしても行かなくてはならない気がして、新しいシッターさんに頼み込んで、行けた。行けて本当によかった。。魂抜かれた。一生忘れられないようなものすごい体験だった。。。。。戦争を知らない私たち。声にならない声までもがそこで蠢いているようだった。
山田和樹さんは、指揮台の上で破裂して、空中分解してしまうのではないか?!と心配になるほど、この作品の莫大なエネルギーと全身全霊で正面からぶつかって、集めて、爆発させていた。爆撃が怒りが憎しみがかなしみが、指揮者に鋭く刺さっているようだった。血を流しながら、命を削って、振っていた。奏者もひとりひとりが懸命に引き受けて音にしていた。圧巻だった。

戦死した方のたった一文の遺書。それが音と共に胸の奥に刺さってきた。その渇いた言葉に秘められた深い悲しみやあきらめ。

音楽というより、爆撃だった。

焼夷弾だった。

焼け野原だった。

血に染まる海だった。

きっと、その場にいたら、かなしみ、なんていうことばも感情も、出てこないのだろうなと思った。感情さえ剥ぎ取られ、ただただ呆然とそこに立ち尽くすのだろう。沈黙するのだろう。ああ、わたしは何もわかっていなかった。かなしみの底が抜けた。

最後まで聞けず、魂抜かれたままお迎えに行った。こどもたちは、いつもの元気溌剌な笑顔でわたしを迎えてくれた。やわらかな手をギュッとにぎった。いつも以上に、頭をぐるぐるなでた。心から愛おしかった。戦争で子を失ったどこかの母のたくさんのかなしみを思った。わたしが生きていることを思った。こどもたちのことを思った。

聞きに行けて、よかった。。


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