泉と水車

私たち演奏家は、音楽という宝ものにふれて、それが目の前で変化し消えていくさまを味わい、そして、その喜びと不思議を、たくさんの人々と分かちあってきた。その場で立ち上がる一瞬一瞬が、心の潤いとなり、生きる力が日々心身を巡ってきた。その場が突然絶たれたことは、想像以上の欠落だ。痛みだ。

回り続けていた水車が、突然回らなくなってしまったような、そんな違和感と欠落感が、じわじわと身体と心を軋ませていく。水が止められてしまった。このままいくと、水車は、ボロボロになり、風化してしまうかもしれない。救いは、音楽の泉はいつもすぐそばにあるということだ。形を変えて水車を回そう。

それがどんな形なのか、自分に合っているのはどんなものなのか、わたしにはまだ分からない。毎日を生きるのに精いっぱいだ。まずは、健康で生きのびなくてはいけない。しかし、ひとたび音楽の喜びと魔力を知ってしまった心は、それを忘れてはいないだろう。これまで与えられてきたものを大切にしよう。

今日の音楽*

https://youtu.be/DNYk0jI1cio

クライバー大好きです…

今日の言葉*

「忠信」というように信は忠とも併用されることもあります。「忠」とは、中+心、すなわち自分の心の真ん中を貫くことです。心の真ん中にいるのが自分の中の神、すなわち「天」です。自分の真ん中から発した言葉、それが「信」です

安田登「身体感覚で論語を読み直す」


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