聴◯ アンサンブル・ヴァガボンズ

今日はこちらの演奏会に💁


李白や王維の原作の詩と、マーラーの音楽がときに毒々しく、ときに可憐にまざりあう。「大地の歌」。中国語の詩がドイツ語で歌われるのを日本語で読む。ふしぎな感覚。
ラストは、マンドリンの漣のようなふるえとハルモニウム(オルガンのような楽器!)のやさしい響きに、ゆめかうつつか。なんという世界。 

“彼は馬を降り、かれに別れの酒を差し出した。彼はかれに訊ねた。どこへいくのかね、どうしてなんだい?

かれは言った。くぐもった声だった。君よ、わが友よ、僕はこの世では幸せに恵まれなかったんだ!
どこへ行くかって?僕は山に引っ込むよ。僕の孤独な心が休まるところを探すよ!

僕は故郷を目指し、僕の居場所を求めて歩く!遠方を彷徨うことは二度とないだろう。僕の心は静かだ。そしてその時を待っている!

親愛なる大地はどこもかしこも春の花、新しい緑!どこもかしこも永遠に青く光る彼方!永遠に…永遠に…
永遠に!”

王維
(訳:淡野弓子)

このラストが本当に美しかった…

あの世に片足踏み込んだようなコンサートのあと、すぐに大都会の渦のなかにはいる。余韻にひたれないのが、かなしいなと思いながら歩いていると、渋谷のこの街も人も喧騒も、すべて幻のような感覚に一瞬落ちる。
西澤さんは、読響をこの度退団されたとのこと。オーケストラ奏者としての長きにわたる演奏活動。どれだけたくさんの曲を弾いたのだろう。たくさんのことがあったのだろうな。素晴らしい音楽仲間と音を紡いだあと、何度も前に呼び寄せられても、自分の弾いた場所を動かずすこし恥ずかしそうにまわりをたたえながら、割れんばかりの拍手にこたえた西澤さん。たくさんの人の愛を感じ、幸せな気持ちになった。おつかれさまでした⭐︎

今日の言葉*

過激である必要も高尚である必要もなく、ポジティブでもネガティブでもどちらでもよく、今いる場所で、誰かの目を借りず自分の目で正直に取り組んでいるものに心が動かされる。

井上雄彦


投稿日

カテゴリー:

, , ,

投稿者: