その音はどこから…

横浜シンフォニエッタの演奏会
@フィリアホール(青葉台)

http://www.philiahall.com/html/series/180217.html

ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲 第2番。独奏 クニャーゼフさんはものすごい音……大地を揺るがすような……言葉ではとても表せない。どうしたらあんなすごい音が出るのか…。命を削っている音がする…マイクつけているのではないか?と思うほど、舞台の床を伝わって、足裏からもビリビリ。。客席でどんな風に聞こえるのか聞いてみたかった。そして、激しすぎて、弓の毛が切れすぎている(°_°) 本番までもつのかな。。。

大好きなラヴェルの音の世界は、本当に魔法のよう。「マ・メール・ロワ」は、元々、子ども好きのラヴェルが、友人の子どもちゃんたちに作曲したピアノの連弾。


このやさしさと朴訥さが根底に静かに流れつつ、オーケストラの様々な楽器でどのように色彩が広がるか。今回かなり音色の指示がでた。弓の使い方、息の使い方ひとつで、本当に音色が変わっていくものだ。ディミヌエンドが、気化というのも面白いアイディアだった。液体が気化するような変化。
横浜シンフォニエッタにいくと、旧友に会うような感じで(実際に会うのだけれど)、普段の仕事モードの自分とは違う。昔の自分、素の自分に出会う。それで音楽をするものだから、たまらない。わたしなぞは心や感情がオープンになりすぎるときがあり、音楽の美しさが迫ってきて、なんだか苦しいくらいだった。ふー。もっと淡々といかねばなのにな。。(°_°) 第一、ラヴェルの音楽が美しすぎる。泣ける。おじいちゃん、おばあちゃんになっても、みんなでヨボヨボと音楽できているとよいな。
ラヴェルの部屋は左右対称に何かがある。机の右に大きいものが置いてあったら左にも同じサイズのがある…という話がリハーサル中に出て、調べてみたら、わー!いつか行ってみたい!
http://www.mmm-ginza.org/museum/serialize/backnumber/0811/museum02.html
http://www.mmm-ginza.org/museum/serialize/backnumber/0811/museum03.html

今日の言葉*

“ 8年間、公私ともにパートナーだった人に新しく良い人ができました。仕事はそのままで、と言われて続けています。彼との時間は今も大切ですが、彼が他の人を大事にしていることは、とてもつらいし切ないです。仕事は芸術系で、2人だから創り上げてこられたもので、すぐにはやめません。でも、寂しさを胸に仕事に向かい、次のプライベートの相手をみつけるのは何だか違う気がするのです。(47歳・女性)

芸術関係のお仕事をされていると書かれていました。なので、同じ仕事をする者としてお答えしたいと思います。

わたしにも似た経験があります。また同じような経験を聞くことも少なくありません。少しずつ薄れてゆくこととしても、あなたの内側から、その痛みが消え去ることはないと思います。それは「失う」ことの痛みです。あなたは、人生の半ばを過ぎつつあります。人生の先輩として、少し書かせていただくなら、これからあなたはいろいろなものを失ってゆくことになるでしょう。パートナーを失うことはその始まりにすぎません。
若さを、美しさを、健康を、感覚の鋭さを、あなたは失ってゆくでしょう。では、それは、耐えられない苦しみしか生まないのでしょうか。そうではないことをあなたは知っているはずですね。なぜなら、あなたが従事している「芸術」という営みは、「失う」ことが苦しみだけではないことを、人間に伝えるために存在しているからです。
一枚の絵、一つの曲、一篇(いっぺん)の詩、一冊の小説、どれも作り手たちが、何かを失うこととひきかえに作り出されたものばかりです。喝采を受けず、冷たく無視されても、作り手たちは後悔しないでしょう。なぜなら、作り出すこと自体が、彼ら自身への幸せな贈り物でもあることを知っているからです。あなたもまた、ずっと前からその世界の住人だったではありませんか。”

(作家 高橋源一郎)


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