レッスンで、ふと新しいことを会得したとき、
生徒さんが
ハッ∑(゚Д゚)
という顔になる。
本当に頭の上にピカーンと電球が光るようだ。
ガラリと変わるあの瞬間に立ち会えるのが、先生の喜びである。
この子のスイッチはどこにあるのかと、暗がりを一緒に探す。
歩むのは本人だけど、きっかけは探せる。
ひとつなにかがわかると、そこから枝葉のように
ニョキニョキとわからないことがさらに増える。
ひとつ新しい扉が開けるとその先にまた新しい部屋が待っている。
永遠にすべてを分かることはない。でもそうやって、木が枝葉をのばし、
家が増築されていく様子をみるのは、この上なく幸せだ。
先生冥利に尽きるというやつである。
みんながんばれー。
今日の言葉*
木に実った果実は全て収穫しない。二割ほどは大地に返す。
そうしないと土が痩せていってしまう。
言葉にも似たところがあるように思う。
幾つかの大切な思いは、書かずにそっと心に還す。
するとある日、予想を超えた姿で戻ってくる。
書くとは、何かを作りだすことではない。受け取ることなのだろう。
(若松英輔)