月と雲

蒸し暑い一日でバテバテで、帰ったらバタンキューと寝てしまい、夜中に起きた。お風呂にお塩をたっぷり入れて、ゆっくり浸かった。足をマッサージした。身体よ、今日も一日ありがとちゃん。

深呼吸がしたくなった。おそるおそる窓を開けてみると、あんなに暑かったのがウソのように、夜風は気持ちよかった。月がきれいで、のびのび育つ植物くんに、きれいだねぇと話しかけた。

月が昔から好きだった。夜のこういう時間がたまらなく好きだった。みんなが寝静まったこの時間は、なにか特別だった。静かで、やさしくて、おだやかで。わたしは根っからの夜型人間なのだ。

月はあいかわらず、空に光っている。雲がゆっくりゆっくり流れてゆく。犬のようなかたちをしている。夜のお散歩だ。 みるみるうちに、犬は、いなくなってしまった。

「百年後にはみんないない。
人間はオギャーと生まれて、
静かに死んでいくだけ」

そうなのかもしれない。
いや、そうだよね。まぎれもなく。

いろんなことを楽しんだり、かなしんだり、いろんな出会いや別れがあって、自分のなかをただただ通り抜けていく。月や雲を眺めていると、世界に自分がとけだすようで、心地よい。とけだしてから、また、しばらくして、自分にスーッと戻ってくる。

おなかがギュルギュルと鳴る。
身体は音を立てて今日も生きている。

命はめぐる。

今日の言葉*

「夜は昼とは別の場所にある。本当は夜というのは時間ではなく場所だ。私たちは毎日、地球という星に乗って昼という場所からぐるりと移動して、夜という場所へ行く」


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