弾き初め

2020年の弾き初めはバッハ。

敬愛する演奏家のみなさまと濃厚なアンサンブルができてしあわせだった。それぞれのアンテナがすごい。リハーサルもあっという間に感じた。ジューシーな時間。

カンタータ62番は初めて弾いたけれども、曲に惚れてしまったわ。高音部が激しく動くなか、低音部が地を這うように音楽を運んでいく。冒頭からカッコよすぎではないの、バッハさん。弾きながらシビレマシタ。

本番前に、ランチ。お弁当を出していただいたが、あたたかいものが食べたくなり、ずっと気になっていたタイ料理屋さんへ(お弁当は帰宅後、夫がいただいた笑)このカレー、卵がほんわりでとっても美味しかった。また来たい。

ランチのあとは、コーヒーを飲みながらしばし読書タイム。若松先生の本、面白すぎる!頭のなかにあったイエス像、そしてキリスト教が、刷新されていく。結構色々ショックでもある。読み進むのがもったいないくらい、面白い。(コーフン気味)あぁ、、、なんてぜいたくなひとときなのだろう。こういう時間が恋しかった。…と、一瞬本番を忘れそうになったが笑、きちんと戻って弾いてきた。リハーサルの甲斐あって、集中力漲る、本番らしい本番だった。

渋谷の町は、高くそびえるビルのすぐ横で、地面が掘られていて、ちょっと異様な雰囲気だった。どんなに高くコンクリートを重ねても、土の上にそれが成り立っているのだとは、ついぞ思わず人間は生きている。夜の町に、掘り起こされ、剥き出しになった自然は、静かにそこで息をしていた。

今日の言葉*

自分にとって価値がないものに、価値が存在しないのではなく、世界には自分には分からない価値が存在することを、真に知ること。これが「学ぶ」という営みだろう。自分の価値を他者と共有するのは簡単ではなく、他者の価値もまた理解するに努力を要する、という経験をする。これが学びの現場だろう。

(若松英輔)


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