カフコンス カフェ&サロンコンサート
真夏のような暑さにもかかわらず、おかげさまで沢山のお客様にお越しいただきました。誠にありがとうございました!
カフコンスコンサートは、ピアノの川北さんをはじめ何人かで始められた企画で、今回わたしは初めて演奏させていただきました。随分長く続けられていて、今回来場者数何と2500人を超えたとのこと!!!😳2500人目の方には記念品贈呈もありました☺️ 継続は力なりと言いますが、本当に素晴らしいなぁと感じました。音語りも、長く続けていきたいな☺️
会場となった金魚坂カフェは、何と350年続く金魚屋さん!なんて歴史が古いのでしょう。本郷三丁目というと、なんだか同じ名前なので親近感が。。(本郷さんが本郷で弾くのですねと、何人かに言われました笑。ハイ、ソウデストモ!) 当日は、金魚すくい大会も行われていました。その隣りにあるカフェは、天井も高く、椅子や飾ってあるものも、アンティークで味わいがあり、雰囲気抜群。
カントルーヴ初めてでしたが、音の風景画のようで、演奏しながら毎回様々な景色や思いが去来しました。急にものすごい高い音に飛んだり、2拍の間にほぼ不可能と言えるほどとんでもなく沢山の音符を入れ込まなくてはならなかったりと、なかなかヴァイオリ二スト泣かせな曲でした(この感じ何か覚えがあると思ったら、リヒャルト・シュトラウスに少し似ているかもしれません…一応使える指4本なんだけどナ…みたいな感じであります💦)よい指番号(どの音をどの指で弾くか)を考えるのがミソで、よいのを思いつくと、ふふふとなります。ふふふ。車を運転していて、渋滞したけと効率のよい抜け道見つけたみたいな感じです😁 因みに、オーケストラの仕事の時は、楽譜は個人のものではないですから、指番号は基本的に書けません。どうしても書かなくてはならないとき/書きたいときは、表の人(譜面の右側に座る人)が、音符の上に、裏の人(左側)が音符の下に書き、住み分けをします。効率がよいかだけでなく、もちろん、運指は表現そのものに直結するので、その音をどの弦のどの指で弾くのか?は、大変重要で、奏者にゆだねられています。私のドイツの師匠は、とても思いつかないような指番号を使う人で、ここでこの指!?とギョッとするのですが、いざ弾いてみたり、慣れてくると、なんとも楽器が明るく、そしてヴァイオリンらしく甘く薫るような指番号なのでした。選択できる分、経験と知識、そしてセンスと楽曲への理解が求められ、ゆだねられている運指は、とても深いトピックです。
ヴァイオリンのことばかり書いてしまいましたが、何と言ってもこの曲のピアノの大変さには目が回りそうです。美しい音色で見事に弾かれる川北さんのピアノに感服いたしました。
さて。今回演奏したカントルーヴの「山にて」。第一楽章「風のなかで」に始まり、夕べ、祭り、春の森にて・・・と四楽章あり、なかなかの大作でした。いわゆる循環形式で、同じテーマが、そこかしこに散りばめられています。とてもシンプルなのだけれど、心にすーっと染みるようなテーマは、まずヴァイオリンで奏でられ、ピアノがそれにこたえます。(実は冒頭のピアノの右手もテーマのエレメントですね)何度かやりとりをしますが、その時間の流れは、決して縦に刻まれるものではなく、山びこが返ってくるのを待つときのように、ゆったりとしたものを感じました。「オーヴェルニュの歌」が有名なカントルーヴですが、その土地で歌われ続けた歌は、その人が生きた分だけの命の重なりがあり、その歌をずっと聞いてきた山の記憶もあるのだろうなと感じました。この曲を今回はじめて演奏しましたが、普段とはすこし違うアプローチをしなければなりませんでした。というのも、そこには、あまり人間のもつ心のようなものが登場してこない。感情をあおり立てるようなものがそれほど出てこない。出てきても、すぐに変化して大きな流れに飲み込まれてしまう。それは、まるで、人と大自然のようでした。どこから眺めるのか、なにをフォーカスするのか、しないのかで、随分変わってしまう。祭りでも、騒ぎ立てる場面があったかと思うと、フェイドアウトして、冒頭のテーマを、ヴァイオリンが高音で鳴らす箇所があります。テレビで言うと、街のお祭り風景から、ズームアウトして、壮大な山々が映るようなカメラワークです。山々は人々の心の機微を感じながらも、時にほほえむように、時に戒めるように見守っているようでした。独白のように始まる二楽章「夕べ」も、個人的にとても好きでした。夕方から夜に移り変わる時と色のグラデーションは、切なさもほんのり薫ります。心理学者のユングは、自分というものを、自我(EGO)と自己(SELF)と分けて語っています。小我と大我とも似ていますね。カントルーヴのこの作品では、いつも後者の方を感じながら弾く必要があったように思います。それがとても面白かったのです。
知られざる作曲家のあまり演奏されない曲目を発掘し演奏して、たくさんの方と味わえることは大変喜ばしいことだなぁと改めて感じました。そういう意味でもカフコンスさんの企画は素晴らしいですね。このご縁に感謝いたします。
次回のカフコンスは7月9日☆11:00
クラリネットとピアノの二重奏。ぜひ足を運んでみてください。ご来場の方は1000円で美味しいランチも召し上がれます。つまり、2500円で、朝から珈琲をのみ、生演奏を真近で聞き、美味しいランチまで食べられる!なんてお得なんでしょう!ぜひ日曜の朝のよい時間を金魚坂で。
今日の言葉*
「片手だけでは拍手できない。片足だけでは歩けない。
右手と左手が感応して拍手になり、右足と左足が感応して歩く。
だから相手が感応するまで祈り続けなさい。」
空海