暗譜

横浜シンフォニエッタの定期演奏会が近づいている。

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今回ばかりは、ジリジリと近づいてきているのを
ヒシヒシと感じる日々である。というのも、モーツァルト
交響曲第41番「ジュピター」を暗譜なのだ・・・(!)
日本初の試み。いろいろなことを意欲的にやっていこうと
している横浜シンフォニエッタならではの演奏会になりそうだ。

しかし、オーケストラ曲の暗譜は、想像以上に大変。
今回は、指揮者の山田和樹さんから、暗譜の旨、
あらかじめメッセージがあり、それを了承の上、
皆、引き受けている。引き受けたからには、何とかしなければならない。
人生初の試み、体験にワクワクの前に、ドキドキの方がずっと大きい。。
ヴァイオリンは、ファーストかセカンドか
希望を言ってもよいとのことだったのが
私は、「ファーストがよいですが、もし希望が多かったら
セカンドでもよいです…」と書いたら、案の定、セカンドに^^;

いわゆる、内声担当のセカンドヴァイオリンは、
メロディー担当のファーストヴァイオリンに比べて、
やはり、とてつもなく、覚えにくい・・・。

しかも、モーツァルトは天才なだけに、
伴奏の分散和音の形も、ワンパターンではないのだ。
あぁ、天才なだけに。

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そして4楽章にあるフーガ。
これもまた難しい。これは譜面を見ていても、
集中力を要する箇所である。
テーマの追いかけっこをしていくのだけれど、
始めは、パターンのなかで進むが、最後にいくに
したがって、複雑になっていく。

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練習すればするほど、あぁ、モーツァルトって
なんて巧みに作曲してあるのだろう!
天才!と感じ入ってしまう。(感じ入っている場合ではない)

どのように暗譜するのか。

とりあえず、カラオケ作戦。
録音を流しながら、一緒に弾く。
何度も何度も弾く。頭で覚えるのではなく、
指で、身体で、耳で覚えるしかない。
できなかったところをチェックする。

友人は、自分のパートを録音して、
オーケストラの音を浮かべながら、
それと一緒に練習していると言っていた。
それは思いつかなかった。

普段よりずっと、他の楽器が何をしているか
身体にしみ込んでくる(普段もこれくらいわかっているべきか・・・)

途中から気付いたのだが、ただ音を憶えるだけではなく、
「おぉ・・ここでこの音にいくのか!」
「おぉ・・・ここでこの調にいくのですね!」
「おお・・・・ここでこの和音にいくとはっ!!!」
と、驚きと感動と共にいると、音楽的に憶えられるし、
しかも憶えるのがはやくなる。

あの黒柳徹子さんは、「徹子の部屋」にきたゲストが
何を話したか全て覚えていると聞いたことがある(本当か!?)
それがなぜ可能かというと、毎回「まーー!!そうなのね!」と
驚いているからだと、脳科学者が話していた気がする(うろ覚えだけど)。。
つまり、驚きというのは、記憶と深いところで結びついているのかもしれない。
確かに、子どもの時の思い出でも、すごく驚いたことは、そのシーンも
ふくめて、鮮明に覚えているものだ。たとえば、私の鮮明な記憶は、
ただいまーと帰ってきた母親の頭の上に、小さいかわいい毛虫が
乗っていたという出来事である。

閑話休題。

明日からリハーサル。
どうなることやら・・・・・・・・。

とりあえず、メンバーに会ったら、
運命共同体として、握手したくなってしまいそうだ。

カラオケの大切な御供のみなみなさま↓
ひとつの録音でずっと練習すると、
それぞれの間や呼吸や癖も覚えてしまいそうで、
毎回違う演奏を再生。
すばらしい演奏をありがとうございます。

アーノンクール
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=zK5295yEQMQ&w=420&h=315]

ウィーンフィル・ベーム
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=jY5bMdix0sA&w=420&h=315]

ウィーンフィル・ムーティ
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=nTDuNrO-KNc&w=560&h=315]

hr-Sinfonieorchester ∙ Paavo Järvi
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=6RbKWhr0o1c&w=560&h=315]

Academy of Ancient Music・Hogwood
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=ihgSU2n5x3I&w=560&h=315]

今日の言葉*

「本当の集中は意識を一点に向けることじゃない。
全体に拡散させることなんだ。
よく一つのことに集中しろと言うが、
一点に集中すると他のものが見えなくなる。
見えていない間に、まわりが変わってしまっていることに
気付いているかい?
集中とは真ん中にいて全体を見渡せる状態のこと。
拡散の意識が大事なんだよ。
本当に大切なものを見逃さないように。」

桜井章一