カラバッジョの光と闇

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若冲展がある!と聞いてずっと前から楽しみにしていたのですが、ものすごいらしいですね。「水曜日はシルバーデイ 65歳以上無料で、結果320分待ち」って…

アータ… ( ̄◇ ̄;)

お昼に並んでも夕方になるのでは。閉まるのでは。ずっと並んでいた人って、最後尾はどうなるんでしょうか。今日はここまでと、切られるのかな。ドイツにいた時、郵便局が激混みでずっと順番を待っていたのに、閉まる時間になったら、バッサリと今日はここまで!じゃあね!とシャッターを下された悪夢が蘇ります(O_O)

それにしても。

整理券配布すればよいのにね。。その間に動物園行ったり、他の美術館に行ったり、ご飯食べたりできるのに。普通に熱中症にもなりかねない。色々難しいのかもしれないけれど、柔軟に対応できないのだろうか。

それにしても。

日本人って、老若男女問わず、美術好きですよね。美術館に行くととても熱心にみておられる。この熱はどこから来るのだろう。そして、音楽も、こういう熱を巻き起こすものを作らねばならないのだろうな。。。クオリティの高さと、告知のあり方。。色々考えさせられます。

若冲は諦めて、カラバッジョ展に行きました。待ち時間ゼロ。笑。よい感じで空いていたし、素晴らしい展示でした。カラバッジョの光と闇のコントラストは凄まじい。ジリジリと焼けるような太陽、一歩路地に入ると暗闇が訪れる、イタリアの街や風土のなかで生まれたものだろう。もちろんあの不穏な時代が生んだものでもある。ところでカラバッジョって、殺人を犯していたのですね。知らなんだ(O_O) そして、そのあと、身を潜めていた時に描いた絵というのがこれまた圧巻。この展覧会は、テーマやコンセプトごとに展示してあり、カラバッジョ以外の作品も沢山ありました。「占い師」「動物に噛まれた系」「五感」…どれも大変興味深い。。。中でも「斬首系集めてみましたコーナー」は、背筋が凍りました。。。カラバッジョの才能余すところなく発揮されているのをこの目でしかと確かめました。ゾゾゾ。カラバッジョの描く男性は、肌が陶器のように美しく、なぜか大体右肩がはだけていて、果物すらも何とも艶かしい。男なのか女なのか分からないような、中性的なもの、男性性と女性性の絶妙なところが、浮き上がってくるような人物像も沢山ありました。登場する人物の視線も、巧妙かつドラマティックで、人間というもののリアリティをここまで表出させているのには、改めて恐れ入りました。すごい。。。

絵画的なものと音楽的なものの違いについて考えていたら、村上春樹の文章をふと思い出しました。絵画のなかにも音楽的要素があり、逆もまた然り。

“僕は基本的には文章を音楽的に書いているような気がします。書いたものをよく声に出して読んで、リズムやソノリティー(音の響き)や音楽的ドライブ(うねりのようなものです)を細かくチェックします。それは僕にとってとても大事な作業です。文章がまず音の流れとして優れていること。僕はこのように文章についての多くを音楽から学びました。
 でももちろんそれだけでは小説にはなりませんので、そこに絵画的な部分を必要に応じて付加していきます。絵画的な文章に関して大事なのは、デッサンの速さと、塗り重ねの綿密さです。この部分は音楽的な部分に比べて、仕上げるのにすごく時間がかかります。作業としてけっこうしんどくもあります。しかしもちろんやりがいはあります。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「世界の終り」の方のパートは、どちらかというと絵画的な傾向がより強いような気が自分ではします。
 だから僕が小説を書く場合は、音楽的な方法と、絵画的な方法とをかなり意図的に、有機的に組み合わせている、と言っていいかもしれません。「意図的に」と言いましたが、最初からそうだったわけではありません。僕は長い時間をかけて、このようなものの書き方のシステムを自然に作り上げてきたのです。あなたに質問されて、そういえばわりに意図的にそういうことをやってきたのかもな、とふと思っただけです。意識されない意図というか。ややこしいですね。 村上春樹 ”

小さいころから、絵を観るのはとても好きだけれど、吸い込まれるように見てしまうので、毎回ぐったり。それでもやはり、素晴らしい体験。また行きたいです。

若冲SFなるものができていました。笑。。。(こういうの好きです)
http://togetter.com/li/976695

今日の言葉*

樹というのは、これもそれが私に及ぼす効果の総体なのです。私が観ている樹を素描することが問題なのではありません。単に樹としてだけではなく、ほかのあらゆる種類の感情と関連して私の精神に働きかけてくる対象を私は目の前にしているわけです。……樹を正確に模写するとか、慣用語法で葉を一枚一枚素描したりすることで私は自分の感動を解放するわけにはゆかないでしょう……むしろ、自分を樹と一体化させてはじめてできるのです。私は樹と似ている物を創造せねばならない。

アンリ・マティス


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