いとおしい君へ

いとおしい君へ

梅が咲くころになると毎年
あぁ、あのとき、
「いつ生まれるのだろう」と
おなかをさすりながら
歩いていたなぁと
ママはおもいだすんだよ

「梅、きれいだね
生まれたら、
たくさんたくさん
みようね

一緒にみようね

この世界には美しいものが
たくさんあるんだよ」

そうやっておなかを
撫でていたけど

きづいたら
君がうまれてから
もう6回目の梅だった

右も左もわからないまま
目の前のふにゃふにゃの
生き物を生かすことに
精一杯で、不安でいっぱい
だった

どうしても外に出たくなって
ボサボサの髪で
君を毛布にくるんで
梅を見にきたんだよ

「梅、きれいだなぁ」
と、泣いたっけ

最近は、保育園まで
手をつないで歩いて
行くようになったね

自転車ももう
2人乗せるのは
危なくなって
歩くようになったんだよね

ママはおっちょこちょいだから
自転車もほどほどにしないとね

「ママ!みて!!
さいてる!!
きれ〜〜〜〜!」

梅にかけよって
うっとりと見る君の目は
とってもキラキラしていて
しっかりと握る君の手は
とってもあたたかくて

頼もしいなぁ
かわいいなぁ
大きくなったなぁ
と、ママはすっかり
感心しちゃいます

梅や桜は、毎年
同じように咲くけれど
君という花は、どんどん
変わっていくんだね

ママは、変わっていってるのかな

正直なところ
よく分からないし
なんだかすこし
さびしい気持ちなんだよ

あんなに小さかったのに
この前まで赤ちゃんだったのに
こんなに速く走れるように
なるなんて
こんなにお話しするように
なるなんて

ママは、梅みたいに
なんにも変わってない
気がするの

君の生命の
美しさや強さや速度に
ちっとも
追いついてゆけてないの

ちょっと
置いてけぼりなの

心によゆうがないとき
ママのなかから
イライラ虫が出てきて
ついつい怒ってしまうことも
たくさんあったね

ごめんね

そういう日は、
なんであんな言い方したんだろ
って、夜、布団のなかで
ごめんねごめんねって
君の頭を撫でていたんだ

それでね
「何を言うか」ではなくて
言ってないことの方が
伝わっているのかも
しれないなって
ママは気づいたの

言ってないことというのは
ママ自身も気づいてない
心のモヤモヤなの

大切なのは
「君は大丈夫!」と
心から信じること
なんだなと思ったの

それには
ママは大丈夫!って
ママが思えた方が
絶対にいいなと思ったの

もうすぐ卒園式

ハンケチを10枚は
用意しなくっちゃ

きっと
泣けて泣けて
泣けるんだから

たくさん泣いたら
スッキリするかもしれないね

ママも、ちょっと
しっかりしなきゃね

君がひとつ
旅立とうと
しているのだから

しっかりその背中を
見届けるんだ

日々を一緒に
過ごすうちに
重なってゆく
このいとおしさは
どこから来るのだろう

これが
愛というものなのかな

どんどんどんどん
海みたいに空みたいに
広がっていくのかもしれないね

梅の季節が終わって
今日は桜が咲きはじめていたよ

毎日見ている
桜の木の下で
君がランドセルを
背負って、写真に
撮られるのかと思うと
もうそれだけで
ママは胸いっぱい!

ママも、卒園だなぁ
今まで必死だったなぁ

ママもがんばった!
ママとして六才!
おめでとう!

いとおしい君よ
ピッカピカの六才さん!
おめでとう!


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