松下先生とお別れをしてきた。先生のニコニコとした笑顔のお写真をみたら、やはり涙たくさん出てしまった。そのあまりの急な死の知らせは、わたしをとても驚かせた。文京区民オーケストラのリハーサルの最中だったというから、みなさんさぞや驚かれたことだろう。しかし、一番驚いたのは先生ご自身だったかもしれない。亡くなったと聞いてすぐに、教会にお顔を見に駆けつけた。すぐにでも立ち上がって、動き出しそうな元気なお顔で、思わず「せんせい〜〜」と涙まじりに声がもれてしまった。
先生との出会いは、高校生にさかのぼる。文京区の高校に通っていた縁で、文京区民オーケストラに入った。大学に入ってからも、ドイツの留学から帰ってきたときも、いつもいつもあのニコニコとした笑顔で「おー!ほんごうさん、どう?元気?」と、声をかけてくださり、何かと気にかけてくださった。先生は愛のかたまり、エネルギーのかたまりのような方だった。お会いすると、こちらも自然と元気になった。お話すると、冗談やダジャレが必ずひとつはついてきた。いつも頭のなかは、次のいろいろな構想でいっぱいなのだろうなと感じた。去年は、芸大フィルの企画に乗せていただき、地球の反対側、チリに行くことができた。片道三十時間以上かかる、とてもとても長い旅で、大変だったけれど、一生の宝物になった。この企画が実現したのも、先生の国境や分野をこえたエネルギッシュでハートフルな、人と人のドラマの賜物。たくさんの人とこととものをつなげてくださった先生に、いくら感謝してもしきれない。
チリで、「寒いからその露天でかったんだよー。似合ってるでしょー。アルパカだって!あったかいよ!」とご満悦の先生。本当にお似合いでした^^
ああ、いまだに信じられない。大学に行ったら、またいつもの感じで「げんきー?」と声をかけてくださるような気がしてならない。本当に命というのはわからないものだなぁ。だれかに会えるというのは、当たり前のようでいて、そうではないのだなぁ。会えるときを大切にしよう。会いたい人には会いにいこう。会えなくなっても、思い出そう。ジーンと今も心に残るのは、先生の笑顔とあたたかさ。松下先生、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
今日の音楽*
オーケストラで参加させていただきました↑
ソリストのブラウさんの素晴らしさと共に
忘れられない演奏会になりました。
https://www.youtube.com/watch?v=1I34045dEww
今日の言葉*
「ひとは亡くなったときから、距離がぐっとちかくなるものなのです。永遠の時のなかで、新たな関係がはじまるのです。かなしくて、こちらが話してしまうのではなく、あちらの声が聞こえるように、沈黙が必要なのです。これは一見、矛盾しているようですが、そうなのですよ。今はわからなくても、すこし心にとめておいてくださいね」
若松英輔先生