音語りレポ②


この数日間、本当に宝のような時間を過ごした。朝から晩まで、あの圧倒的な音に浸り、珠玉のようなことばにふれ、身体の内の方、奥の方から細かくふるえて、心身ともに新しくなった感覚。(そして今は、かけ流し温泉にずっと入り続けたようで、すこし湯あたり状態である( ゚д゚)。本番はまだだった笑) この数日のことを、一冊の本にまとめたいくらいだ。公開レッスンを受けたみなさん、途中からどんどん音が変わっていった。本当に変わっていった。そして、終わりには顔の表情も明るくなった。それを聞いている人たちも皆なんだか楽しそうになった。そうやって喜びがこぼれてくること、ただひたすら音楽することが楽しい、気持ちがよいと感じること。それは何て素敵なことだろう。そしてそのことは、どうして自分が音楽を続けているのか?という根本につながっている。
失敗しないようにと緊張で強張る生徒さんに「からだの中と末端は、シーソーのような関係になっている。からだの内側と体幹が充実していれば、10,9,8,7,6….という風に内から指先にむけてどんどん軽くなって、自由自在に操縦できる。でも、内が枯渇し、間違えないようにと恐怖とともに楽器にふれていると、結果的に指先もかたくなり、連動しないしつながらない。その状態でいくら練習しても、次に進めない。ちょうど自転車に乗れるようになるのと似ていて、今はまだ自転車には跨っているけれど、足をこわくて必死で地面につけていて、前に進めていない状態。とにかく足を思い切って離して、漕いでごらん。そしてたくさん転ばないとだめだよ。転ぶから乗れるようになる。まずは不安定さを味わい、ものにしなくてはならない。不安定さを信頼しなければならない。そして一旦乗れたら、大丈夫」そんな風に村上さんがやさしく語りかけていくうちに、生徒さんの表情がふと明るくなった。そして音が本当にのびやかでやさしくあたたかくなり、息づいた。その音楽の一番おいしいところ、その人の心の一番おいしいところが音となって私たちの前に立ち現れ、私たちの心も明るくなった。音と心、心と心がふれた瞬間だ。喜びがこぼれてきた。その変化に涙が出そうになった。「果物が腐りかけが一番美味しいように、ぼくたちも安全運転をするのではなくそのギリギリまでいかないといけない。そしてまたいきすぎると品がなくなってしまう。その間に一番おいしいところがある」
村上さんの音はその「一番おいしいところ」の連続なのだ。心にふれる、魂にふれる音。たまらない。とにかくあの音を生で聞いていただきたい(>_<)
7/24 月 19:00〜

日暮里コンサートサロン

(ホテルラングウッド内)
↓お申し込み、詳細はコチラ↓

http://noth.jp/lecture/oto/20/
・曲間でもお入りいただけます。

・お席埋まってきていますが、当日券も販売予定です。

今日の言葉*

神様が大地と水と太陽をくれた
大地と水と太陽がりんごの木をくれた
りんごの木が真っ赤なりんごの実をくれた
そのりんごをあなたがわたしにくれた
やわらかいふたつのてのひらに包んで
まるで世界の初まりのような
朝の光といっしょに
何ひとつ言葉はなくとも
あなたは私に今日をくれた
失われることのない時をくれた
りんごをみのらせた人々のほほえみと歌をくれた
もしかすると悲しみも
私たちの上に広がる青空にひそむ
あのあてどないものに逆らって
そうしてあなたは自分でも気づかずに
あなたの魂のいちばんおいしいところを
私にくれた

谷川俊太郎
「魂のいちばんおいしいところ」


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: