誠実さ

連日、仕事が郊外で、その近くに住む友人宅に泊まらせてもらった。
「疲れた〜」という私を前に、お風呂から上がって、ザクロを愛おしげに食べる友人。
そもそも私はザクロというものを初めて見たし、食べました。なんですかこの食べ物は。
なんて美しいのでしょう。あんなカラカラした外見からこんなキラキラした粒が出てくるとは、
初めてみた人は驚いたことだろう。不思議な食べ物。

リビングにあるダヴィンチのスケッチも素敵だったし、ふと出してくれる器も、
紅葉する木が見えるキッチンも、周りの緑も素敵だった。
やるじゃないか。センスがよいのですな。日々の暮らしを愛おしむ、
豊かな時間が流れていた。遠いからどうせ遊びにきてくれないんでしょと嘆く友だったが、
これから青葉台で仕事のときは、悪いけど毎回泊まらせてもらう。笑。

横浜シンフォニエッタの演奏会に来てくれた。
終わってからできたての焼き芋のようにホクホクと嬉しそうに感想を語ってくれる友人に、
私は、リハーサルではこんなことを言われてこんな風に変わったんだよと話すと、
ますますホクホクした。いや、ザクロのようにキラキラした。

「さちこさんの話聞いて、世界が押し広げられたわ。
音楽を生きる人達の感性が、凄く未知で、へえええ!となる。
誠実にならないと、いい音でないんだなって。自分に対しても、世界に対しても。
デザインとかとは、全然違う。演劇なんかとも、違う。どっちかというとアスリート系。
身体を使って、魅せていくというか。すごい世界だなーと感動する。」

ポロリと言われたことばに、少しドキリとした。

そうなのだ。「誠実であること」 それが何よりも大切だ。本当に。
よくぞそれが分かったなぁ、友よ。若いときは、追いつけ追い越せと必死に勉強する。
でも、そういう時期が過ぎ、ふと気づくと結構イイトシになって、
だんだん若いときのように無理もきかなくなり、できることとできないことが、
分かってくる。もちろん一生勉強は続く。でも、年を重ねるごとに、
ますますその人がどのように音楽と向き合っているかが、音になるし、
大切になってくるのだよなぁということを、しみじみと感じる。

原田陽さんのヴァイオリンリサイタルに行った。バッハだけのプログラム。
ベートーヴェン交響曲3曲弾いた次の日だったので、マラソン走ったあとのような
独特の疲労感だったけれど、どんな演奏なのだろうとワクワクしながら
王子ホールへと足を運んだ。これが、本当に素晴らしかった。。。

特に無伴奏は、自分も苦労しているだけに、その素晴らしさに唸った。
フーガは、どの声部もクリアで、それが見事に重なっていき、さながら、
壮麗な建築が出来上がって行くようだった。その広い土台ができたあとに、聴くアンダンテ。
なんて美しかったのだろう。まさに、音楽への誠実さがにじみ出ているような演奏で、
その直向きで真摯な音楽に対する姿勢が伝わってきて、そのことになんだか泣きそうだった。
そして、そうだよね、音楽ってこうだよねぇとどこかほっとした。

音を紡ぐこと。編み物をするみたいに、ひとすくいひとすくい、丁寧に音を編んでいくこと。
そこには、ヒタヒタとした職人的な気質と、そしてまたキラキラとした閃きもいる。
原田さんの音はどの音にも命が宿っていて、キィーと神経質な音は一音もなく、
まろやかでのびやかだった。日本人離れした感性と共に、理知的でいて、
情熱のある演奏で、唸った。何よりのその誠実さに、感動した。
私も、ああいう風に誠実に音楽を続けていきたいなと感じた。

音楽を続けていくのは、簡単なことではないけれど、
やはり音楽を生業にできていることは、宝物だなぁ。音楽って素晴らしいなぁ。
そしてそれを人や自然と分かち合えることはもっと素晴らしい。
これから音楽と共に、ゆっくり生きていきたいな〜(^〜^)

あ、ザクロの友だちは、スウェーデッシュマッサージなるものをしています。
まだ行ったことないのだけれど。もしご興味ある方は、コチラ♪
今回、昼公演と夜公演の間にマッサージに行ってる人いたけれど、
出張で来てもらえばよいのでは?と気づいた。次回こんなことがあれば、
提案してみよう♪っていうか、私もマッサージするのすきだからやりたい。笑。
http://www.iki-aoyama.com/about-2

 

今日の言葉*

映画とは、リアルな中に俳優を入れると、逆に浮き上がってしまう。
ある程度こちらで(状況を)作り、ただあまりに突飛だと見ている人が
ありえないと思うので、ありそうで、でもちょっと違うな、そういう微妙な
さじ加減で作ることが、僕たち演出家やスタッフの役目だと思っています。

自分を信じてうそをつかないこと。それだけは肝に銘じています。
うそといっても、映画的なうそではなく根本的なうそ。
本心ではそう思っていないのに、外国の人はこう思っているはずだからと
それに合わせる。そういううそは絶対にバレます。ですから、世界には
この気持ちを理解してくれる人が必ずいると信じて作ることに尽きますね。
実際、そういう(理解をしてくれる)人はいるもので、日本に1万人いたら、
他の国にも1万人くらいずついる。それをすべて合わせたら、かなりの人数になる。
自分と同じ考えの人は絶対どこかにいる、そういう人たちのことを信じて作るだけのことです。 」

(映画監督・黒沢清)


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