上野学園卒業生、がんばれ〜

少し前のことになるけれど、上野学園大学のオーケストラお疲れさま会があった。懐かしい先生方、卒業生に会えてとても嬉しかった。

ついに大学も幕を閉じるようだ。

帰国してからおよそ10年、尊敬する先生方の中で、教育の現場に関われたこと、かわいい学生たちとの出会いは、自分にとって大切な宝もの、礎になった。このご縁に感謝しかない。

ゴタゴタがあったときに、自分の師匠が突然いなくなって、困惑し、泣いていた学生の顔が今でも忘れられない。心が痛み、行き場のない憤りが起きた。音楽の道を歩んでいく上で、師匠の存在は、ものすごく大きいものだ。広い森の中で、道標が無くなったように呆然とする学生たちの姿が忘られない。上野学園の学生たちは、心根がやさしい子が多かった。いち人間として、いち大人として、そんな若い人たちに、こんな思いをさせたことが、悔しくてならなかった。

私は最後まで見守れなかったけれど、最後まで学生たちのことを思って考えて、ご尽力下さった先生方や事務の方々に、心からの感謝と、頭が下がる思いだ。

さて、私に何ができるだろう?

と考えたときに、やはり、それは、同じ舞台で、一緒に音楽をすることだった。私が企画するお話コンサートの音語りで、前回は、実に、10名の上野学園の卒業生が参加してくれた。まるで同窓会のようで、こんなに嬉しいことはない。音語りで度々共演してくれている森永かんなさんは、上野学園の音楽教室で、小学5年生から教えていて、まるで自分のこどものような存在だけれど、今は、洗足大学院生!演奏だけでなく、企画のコンセプトなどもどんどん吸収して、自主企画も広げていて、頼もしい。

山形交響楽団のセカンド首席に見事合格した堀越さんをはじめ、上野学園の卒業生のプロのオーケストラでの活躍もちらほら耳にするようになり、喜ばしい。もし卒業生が現場にいたら、何卒ご指導、よろしくお願いいたします。

音楽は、時間を束にして、人を一瞬でつなげてくれる。音楽で、きっとずっとつながっていける。そう信じているし、感じているし、これからも、つながっていきたい。

上野学園卒業生、がんばれー。

ありがとうございました。

今日の言葉*

人間とは常に人間になりつつある存在だ
かつて教えられたその言葉がしこりのように胸の奥に残っている

成人とは人に成ること

もしそうなら
私たちはみな日々成人の日を生きている
完全な人間はどこにもいない

人間とは何かを知りつくしている者もいない

だからみな問いかけるのだ

人間とはいったい何かを
そしてみな答えているのだ

その問いに
毎日のささやかな行動で

人は人を傷つける

人は人を慰める

人は人を怖れ

人は人を求める

子どもとおとなの区別がどこにあるのか

子どもは生まれ出たそのときから小さなおとな

おとなは一生大きな子ども

どんな美しい記念の晴れ着も

どんな華やかなお祝いの花束も

それだけではきみをおとなにはしてくれない

他人のうちに自分と同じ美しさをみとめ

自分のうちに他人と同じ醜さをみとめ

でき上がったどんな権威にもしばられず
流れ動く多数の意見にまどわされず
とらわれぬ子どもの魂で

いまあるものを組み直しつくりかえる

それこそがおとなの始まり

永遠に終わらないおとなへの出発点

人間が人間になりつづけるための
苦しみと喜びの方法論だ

(谷川俊太郎)


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